Word PressとJoomlaの使い分け

最近、アップデートされたWord Press 3.0.5を試しにインストールしてサイトを作ってみた。最初に感じたのは、個人、SOHO、零細企業がブログホームページで情報発信するならば、Word Pressで十分であるということだ。

ただ、

カスタマイズをしようとすると一般ユーザーでは到底無理である。PHP、HTML、Javascript、CSS、MySQLなどに精通していないと話にならない。Word Pressが標準で提供している機能だけで実現できるホームページであれば、Word Pressは最適である。

一方、JoomlaはWord Pressほど簡単ではない。Joomlaは、Word Pressと違ってPersonal Publishing Systemではなく本格派CMS(コンテンツ・マネジメントシステム)である。そのため、標準で多くの機能を提供している。

新着記事リストをトップページに5件だけ表示させたい、このページだけに人気記事リストを30件表示させたい、広告バナーをここに簡単に貼りたい、記事表示順位を任意に指定したい、会員向けだけのメニューやページを作成したい、登録者に一斉メール配信をしたい、サイトマップを自動生成させたいなどWord Pressに最初から備わっていない機能がたくさんある。

つまり、システム操作と仕組みを理解すればホームページ制作の専門的知識がなくてもカスタマイズが簡単にできてしまうのだ。これは、長所でありまた短所でもある。

Word Pressは、専門知識や経験があればかゆいところまで手が届き細かいカスタマイズが出来る。Joomlaは、提供されている拡張エクステンションと付属機能に依存しているためそれ以外のことを求めることが出来ない。かゆいところに手がとどかないのである。

Joomlaは、Word Pressと違ってブログシステムではないため、法人向けサイトを構築するのに最適である。Word Pressで法人向けサイト制作をしようとするとテーマ編集でソースを変更するところから始まる。Joomlaは、ソースを変更せずに最適なテンプレートさえあれば直ぐに法人向けのホームページが構築できてしまう。

Word Pressを使った法人向けホームページを業者がカスタマイズして製作すると新しいバージョンが登場したときにバージョンアップが出来ない。バージョンアップを行うとカスタマイズした部分が消えてしまうからだ。つまり、システムのソースプログラムに手を入れているためそれがもとに戻ってしまう。

Word Pressでカスタマイズしたサイトは、バージョンアップがされない。それは、ある意味でリスクである。

Joomlaでサイト構築をするときは、少なくとも当社はソースプログラムに手を入れないため、システムのバージョンアップを行っても問題がない。

Joomlaは、中小企業(中堅中小企業)から大企業向けのホームページシステムである。複数のサイト運営者にコントロール権を与えることが出来る情報発信ポータルシステムである。したがって、Word Pressは小規模サイト向け(個人、SOHO、中小企業)に使い、Joomlaは大規模サイトに使う。

システム保守の面においても当然違いがある。

Word PressもJoomlaもMySQLのDBを使ってダイナミックなページ管理を行なっている。そのため、DBのバックアップはもしかのために必要である。バージョンアップも頻繁に発生する。

カスタマイズされたWord Pressのホームページ(業者が作ったサイトは全てソースを変更している)は、バージョンアップが出来ないのでバージョンアップ作業は発生しない。Joomlaは、セキュリティーの面で最新のバージョンにしておく必要がある。

Word Pressと違ってコンテンツをエクスポートしたりインポートしたりする機能がないため、DBのバックアップ作業が必須になる。これをやらないとサイトが潰れたときに復元が出来なくなる。

バージョンアップのタイミングも難しい。バージョンアップにはバグのリスクが付きまとう。バージョンアップしない方が無難な場合があるからだ。その見極めが難しい。誰もそれを教えてくれないからだ。

Joomlaを内からも外からも良く知らないとサイトを潰してしまうのがJoomlaのリスクである。Word Pressは、そのリスクは少ないので初心者向けだと思う。Joomlaは、初心者向けではない。専門の業者の支援なしにJoomlaでサイト構築は出来ないし維持も出来ないだろう。